有限会社田中工務店

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ペットと暮らす家

先日、引き渡しをした改築の家(建て直しの意味なので新築と同じです。)についてご紹介します。

施主様は弊社が取引している材木店の従業員さんで25年ほど前はうちの担当営業だった方です。

お話を聞くと「建て売り住宅を買って33年が経ち、建物の老朽化がかなりひどく柱なんかも3.5寸角の安普請でリフォームでお金をかける価値がないので思い切って家を建て直したい」ということでした。

目の肥えた建築関係の会社に勤めている方に数ある工務店の中から弊社を選んでいただいた事はとても光栄なことです。

家づくりにあたって私の方で施主様ご夫妻にヒアリングを行いました。まずは家族構成が夫婦+30代の男子が2人の4人家族。ここまでは至って普通でしたがペットの事を聞いたら、なんと犬1匹に猫が4匹と言われてびっくり!今までの弊社のお客様でこれだけの数のペットを飼われていた方はいません。

後日、御自宅を訪問してワンちゃんネコちゃんとも対面しながらペットのお話を伺っているうちに「この家族の中心は犬や猫なんだから彼らが楽しく過ごせる家を造れば家族全員が喜んでくれる」という想いがほぼ確信に近い形で生まれていました。

 

 

 

 

ということで自ずと、この家の題名みたいなものができました。

『ペットと暮らす家』

そして家のイメージとして最初に浮かんだのが家の中心であるリビング空間で楽しく遊ぶネコを見て家族も笑顔になっている映像なのです。

このファーストインスピレーションを大事に大事にかたちに変えていくことがこの家の設計作業でした。

もうひとつ設計にあたってテーマにしたのが『流行に左右されない普遍的な美しい家造り』です。

家は服や髪形などのファッションと違って長い時間そこにあり続けるものです。その時代の流行に合わせて家を造ると数年後にまた違う流行がおこり、「ちょっと前に流行した家の形」というレッテルが貼られるのです。

そういった流行とは一線を画したデザインをしたいという想いが私の中で強くなってきました。

今回、お施主様にはカラーコーディネートを含めた私のデザインをほとんど全て受け入れていただきました。私の趣味とお施主様の趣味が合ったということもあるかもしれませんが、これだけ好き放題に設計させていただくことは稀です。この『ペットと暮らす家』は是非ともオープンハウスとしてみなさまに見ていただきたかったのですがスケジュールの都合で断念しました。その代りと言ってはなんですがこのブログとホームページで精いっぱい紹介させていただきます。

今回外観のデザインで取り入れたのがムクリ屋根という屋根の形です。一般的な切妻屋根は屋根のラインが直線的ですがムクリ屋根は丸みを帯びていて優しいイメージを与えます。母屋という屋根の勾配を決める部材のレベルを少し上げると屋根のラインが円弧を描くのです。

さて続いて内部空間をご紹介しますが、その前に私が今回のテーマである「ペットが楽しく遊ぶ空間」をどのようにイメージしたか見てください。

こんな感じでリビングは梁をあらわしにした吹抜け空間にしてネコが螺旋階段や壁に取りついたテッポウ階段で梁に登って遊んでいる、そしてそれを見て家族が笑っているというイメージが浮かびました。

次のスケッチはパース図というものでお客様がこの空間をもう少し明確にイメージできるように書いたものです。

今が世ですのでCADという図面ソフトで内観パースも作成できるのですが私はこの内観パースは手書きにしています。人に訴えかける力がなんか違う気がするんです。

で、出来上がった実物がこれです。

この麻縄はネコの爪とぎのためのものです。私の最初のイメージ図では柱の上まで巻いてあるのですが自分で巻き始めてこの2段分巻くのに40分くらいかかり、「後はお施主様によるセルフビルド」と勝手に決めてしまいました。

リビングの仕上げ材は床はフローリングと畳、壁はエコカロン塗り壁、天井はシナベニヤの目透かし貼りとしています。

壁に塗ったエコカロンはゼオライトという鉱物が入っていて調湿作用に優れ、ペットの匂いやタバコの匂いを消臭する効果が非常に高いので今回はリビングとトイレとネコの部屋に採用しました。

リビングに接して屋根付きのウッドデッキスペースを設けています。天気の良い時期はテラスサッシを開放してリビング空間の延長スペースとなります。こういった半外空間は実際の大きさ以上に解放的な広がりを感じられることと思います。また物干スペースとして利用したり、ネコちゃんの日向ぼっこスペースだったり利用価値はかなり高いと思います。

このキッチンは通路が狭いため、既製品の食器棚を入れると冷蔵庫が搬入できないので食器棚もサッシ枠などと同じ赤松集成材でつくりました。インテリアも統一感がでるのでこの程度の食器棚で良ければ大工の造作工事でできるのです。

メインのLDKはこのくらいにして、その他の部分も見てください。

外観の特徴は冒頭にご紹介しました「ムクリ屋根」ですがいかがでしょう?何となく優しい感じになると思いませんか。

他に外観上の特徴としては屋根の軒天は貼らずに杉の垂木と化粧野地板をあらわしにし、破風板も円弧を描いた杉板を板金材で巻かずにそのままあらわしです。これによって屋根の先の方は木材で軽やかな感じに仕上がります。

それから外壁には窯業系サイディングの無塗装板を貼った上にリシン吹付けで仕上げています。このリシンについてはどんな色でも調色できるので、オリジナル感が出て好きです。既製品のサイディングだと必ず日本のどこかで同じものが貼られている訳です。せっかくの注文住宅なのですから世界に一つだけのオリジナルカラーでつくりたいと思いませんか?今回は外壁のメイン色を飽きのこない、そして汚れの目立ちにくい渋いグレー色にして玄関の引っ込んだ空間を天井も含めて明るい白にしました。

杉の化粧材とかリシン吹付けというのは一般的には和風の建物に用いられますが、この家の外観は決して和風ではないと思っています。和とか洋とかいうカテゴライズから抜け出したような外観にしたかったのですが一般の方にはどのように見えるのでしょうかね。

さて玄関から中に入ってみましょう。

この玄関の上り框ですが現在ではほとんど集成材に無垢の単板を貼ったいわゆる「貼り物」を使うのが一般的だと思います。弊社では今のところ無垢の材料の在庫がまだありますので無垢材で施工しています。お客様を迎え入れる玄関の一番目立つ場所にあるのが上り框なのですが、目立つということは違う見方をすれば角が出ていて傷の付きやすい部分でもあるのです。そこに貼り物を使って傷がつき、下地の集成材が見えてきたら嫌だなぁと私は思うのです。ということで弊社は上り框は無垢材を使うというこだわりがあるのです。

 

上記の収納建具や片引戸もそうですが1階の建具は全て私がデザインして建具屋さんが手作りしたオリジナル建具です。

せっかくの注文住宅ですから弊社では基本的に木製建具は既製品建具を使わず建具屋さんのつくる世界に一つだけのオリジナル建具をお勧めしています。

ご覧のように四角くあけられた穴を抜けると階段下スペースを利用した天井の低いネコの部屋となっています。

ちょっと分かりにくいかもしれませんが廻り階段の下のスペースがネコの部屋で引き違いのサッシも付いています。この部屋に猫のトイレを置いて壁はエコカロン仕上げとすればペットの匂いを気にせず暮らせるのではないかと思います。

この洋室は息子さんの部屋なのですが壁の1面だけでもパイン羽目板のような自然素材を使うことで温かみのある空間となります。掲示物を貼るにも木板で仕上げるのは良いことですよね。

まとめとなりますが今回のこの『ペットと暮らす家』はどうしたら家族が幸せを感じられるだろうか?ということを考えていったらとても分かりやすいヒントがそこにあったのでイメージがどんどん膨らんではっきりとした形になりました。これからも私はこの「どうしたら家族が幸せを感じられるだろうか?」をテーマに家をつくり続けていきたいと思います。

最後に今回掲載した写真は竣工したばかりで引っ越しする前のものばかりですので、後日ネコちゃんやワンちゃんが私が考えた仕掛けでどのように楽しんでいるかをお伝えしたいと思います。先日、施主様より若いネコちゃんは階段を上って梁の上を歩いたという情報をいただきました。ホッと一安心です。


2013年12月18日-9:34 AM

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