有限会社田中工務店

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古いものをあえて残す和室のリフォーム

今回ご紹介する事例もかなり長い時間を積み重ねてきた和室のリフォームです。

念のため言っておきますが弊社は和室専門のリフォーム会社ではありません。

施工事例を見ていただければわかると思いますが一般的なデザインの家も作ってますし、和のテイストが全く入っていないリフォームももちろんやってます。

しかしなぜか最近、築年数の経ったとても造りの良い和風住宅の改修の工事依頼が多く、家を見させてもらうと壊して一新するよりも価値ある部分を残した方が良い場合が多いものですから和のテイストが入ったデザインになる訳です。

さて今回改修する部屋はこの家の亡くなったおばぁちゃんが使っていた部屋なのですが亡くなった後は物置的な使われ方をしていました。ですが近々この家の娘さんがお産のために帰ってくるのでこの部屋を綺麗にしたいということで仕事を依頼されました。

それでは改修前の様子を。

天井は無くて梁と2階の床板があらわしになってます。

私は現場を見たときに上の写真の造り付け収納の建具に目を惹かれ、これは残すべきだと直感的に思いました。

 

次は荷物を出した後の様子です。

どうですか、なかなか味わい深くて面白くなる可能性を秘めた部屋だと思いませんか?

収納の中に鎮座する黒い物体は!

このお宅の親戚が明治・大正の時代に東京で出版会社を経営されていたそうで、いらなくなった金庫(大正時代のもの)を引き取ったそうです。

ちなみに昔は開けることができたみたいですが今は開け方がわからなくなったそうです。

工事に際してこの金庫を移動したのですが職人が4人がかりでやっと動かせるくらいの重量でした。

 

では工事中の様子を。

床は下地からやり直し、断熱材を入れて冬でも寒くないようにしました。

床下には炉の跡が。当時の生活が思い浮かばれます。

梁はあらわしにしますが2階の床からの音が少しでも下に響かないようにグラスウールを入れて天井を貼るようにしました。

天井ボードの上からビニールクロスではなく自然素材からつくられた和紙を貼っています。

壁も自然素材100%のゼオライトを塗って仕上げました。

では工事完成の様子を。

和室と広縁の間に建具は入れないで一体の空間にして部屋に光が少しでも入り込むようにしました。

広縁の床と天井は杉の無垢板を使っています。

また今まで押入になっていたところは天井いっぱいの3枚建ち建具にして物の出し入れがしやすいように配慮しました。

2枚引違い戸は間口の1/2しか有効開口となりませんが3枚戸にすると2/3が有効開口となります。

床の畳はまだ新しかったので再利用してます。

サッシは断熱サッシに変えてサッシ内部にはプリーツスクリーンというものを取り付けました。このプリーツスクリーンはカーテンと同じように光を通すレース生地と光を遮るドレープ生地を一緒に組み入れることができるので光を入れたい昼間と視線を遮りたい夜など場面によって使い分けることができて便利です。

それから上の写真を見て気づいたでしょうか?造り付け収納の建具は元々あったものを修理して再利用してます。

何でも新しいものが良いわけではありません。時間を経て価値を増すものもありますし、少し手を入れるだけで輝きを増すものもあります。その辺の残すところと刷新するところの見極めをしてバランスよく調和させて全体を整えることがこういうリフォームでは大切なことだと思います。

出入り口の建具は間口が広いのでデザインをどんな風にしようか迷いましたが、今回残した既存の収納建具のデザインをモチーフに色ガラスを一部使うことでアクセントがついて面白いものになったと思います。

こういった既存を生かすリフォームの場合は既製品建具ではできません。

現場に合わせた微妙な寸法の調整も必要ですし何よりもその部屋の雰囲気を建具のデザインと存在でつくりだしていかなければなりません。

天井に和紙を貼ったことで既存の梁との対比ができて存在感が増した気がします。

新しいものが入ることにより古いものの存在を浮き立たせることがあります。

しかしその古いものの価値は元々そのものに備わっていたのです。気づかれなかっただけで。

こういうことって人間にも当てはめることができると思います。

その人の埋もれている能力や価値を見出してその人の持つ力を最大限発揮できるような環境を整えてあげる。これがチームを率いるリーダーに必要とされる能力だと思います。

私も曲がりなりにも会社のリーダーですので物だけでなく人を見る目を養っていかなければと特に最近思うところです。

さて話がちょっと逸れました。最後になりますがこれから生まれてくる赤ちゃんと産後の娘さんがこの自然素材で仕上げた部屋で気持ち良く穏やかな時間を過ごしてくれたらいいなと思います。

2017年12月2日-4:18 PM

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