有限会社田中工務店

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築133年の家を住み継ぐ

その男性は築133年の家のリフォームをしたいと事務所を訪ねてきました。

お話を聞いてみるとその男性は60代後半で高校卒業後は栃尾を離れ東京で仕事をしてきたそうですが仕事の関係で海外に滞在することも多くいろいろな国の暮らしを体験してきたそうです。

16年前に故郷に戻りご両親とこの家で生活を共にしていたのですが昨年お父様を亡くし、お母様も介護施設に入ることが最近決まったそうで基本的にこれから一人での生活となります。

しかし今までも東京や海外の友達や親類の人たちが度々この家に滞在していき、この家の持つ居心地の良さみたいなものを感じてそのような感想を述べていったそうです。

帰郷してから16年、この家で生活するうちに至った考えは代々住み継いできた家を自分のできる範囲で改修して次世代に引き継ぎたいということでした。

そして自分と同じように古い家を大事にする人が栃尾に少しでも増えていってほしいと私におっしゃいました。

私がその言葉にとても共感したのは言うまでもありません。すぐに賛成の意を伝えて話の続きを聞きました。

まず手始めに人の集まる客間を改修したいとのこと。

現場調査で初めてその家を訪問した時の様子です。

立派なお宅です。

外部建具に障子戸が使われています。

いわゆるセイガイ造りで軒の出が5~6尺あります。ですから外部建具に障子戸なんてことが可能なのです。

妻側の軒の出も4尺くらいあるでしょうか。

それからこの建具のデザインがいいですね。このデザインをよく覚えておいてください。

そしてこの部屋が改修を希望している茶の間です。

壁は化粧ボード、建具はプリント合板となっていて新建材を使った改修をだいぶ前に行っているようです。

梁は板で化粧貼りしてあり、天井は目透し天井なので梁があまり目立っていません。

しかしこの建具と差し鴨居は良い具合に古びていて価値があります。

この4枚の建具の向こうに一部屋ありその先は池があるという環境です。

建具を開けるとこんな感じです。

ここが客間の隣の部屋。数年前に洋風のリフォーム済み。

これが池です。整備すればよい環境になると思います。

 

客間の上のこの物置は昔は存在せず1階からの吹き抜けになっていて下でカイコを飼っていたらしいです。

私の親世代が子供のころは栃尾の農家のほとんどはこのお宅のように家の中心となる一番いい部屋をカイコ(方言でぼこ様)を育てて絹の原料となる繭を売って現金収入を得ていたそうです。

 

では改修工事の様子をご覧ください。

天井は元の梁をあらわしにすることに。

腰壁は古色塗装した杉板貼りに。

木目がきれいに出ています。

壁は100%自然素材のゼオライト塗り壁に。

 

工事完了後はこんな感じに!

 

天井はビニールクロスではなく自然素材でできた和紙壁紙を貼っています。

今回一番こだわったのはこの木製建具です。

この家の外部建具に使われていたデザインを引用しています。(ページの最初の方の外観写真でご確認ください)

家の記憶みたいなもの(DNA的なもの)を新たに造る部分にも引き継ぐことを私は意識しています。

真ん中だけは素通しガラスで視線が抜けるようにしています。

この建具の先には池に面した明るい空間があります。

この部屋の床は無垢のフローリングで仕上げました。裸足で歩くと気持ちいいんです。

最後に神棚もきちんと納めて今回の工事は完了です。

いつも思うことなのですが住む人が家のことを大切に思いながら手を入れると心なしか家自体が喜んでいるように私は感じられます。

はっきり言うとお客様の中には家への思い入れはあまりないんだけど必要に迫られてしょうがなく工事をする人もいます。

そういう場合には家が喜んでいる風には感じられません。

あくまで私の心の中のことですが、こういう感じわかりますかね?

この仕事を依頼してくださったお客様は真剣に家のこと、家族のこと、自分のこと、先祖のこと、未来のことを考えて今回の改修工事をやることに決めたのが私にはわかりました。

ですから私たちもこの家の良さを引き出せるように心を込めて仕事をさせていただきました。

来年は外壁の雨板貼り替え工事も予定させていただいてますので、またブログにて工事の様子をお伝えします。

今回も素晴らしいお客様と家に巡り合うことができて感謝してます!

 

2017年11月10日-3:36 PM

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