有限会社田中工務店

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終の棲家

先日引き渡しを終えたリフォーム工事についてレポートします。

お客様は70代前半の女性で独り暮らし。その方の息子さんの家もお孫さんの家も弊社で新築工事をさせていただいた縁もあり、今回は息子さんのご紹介でお母様の家のリフォームをさせていただくことになりました。

三世代にわたってお世話になるとは本当にありがたい話です。

さてお母さん(このレポートではこの呼び名で通させていただきます)のリフォーム工事に対するご要望はただ一つ。

『できる限り長く一人で自立した生活をしたいと願っているので暖かくて高齢者にも使い勝手の良い家にリフォームしてほしい』

ということでした。

とても明確で切実で、ある意味では強い覚悟が窺える要望だと思いました。

今まで携わったリフォーム工事でのお客さまからの要望というと割と日常生活の不便なところの改善を数項目挙げられる方が多く、『こんな生活がしたいんです』みたいな大きなビジョンを話してくれる方はごく稀でした。

ですからこのような大きなビジョンをまず提示していただくと設計者としてはお客様の生活スタイルや行動まで含め色々な事を考え、想像して設計することになるので一貫したテーマに沿った家造りができると考えます。

まずはメインテーマを!

さてまずはリフォーム前の様子を。

この階段はリフォームで位置を変えました。高齢になれば2階はほとんど使わないので1階のプランを優先させて階段は邪魔にならないところへ。

リフォーム前のこの家では物があふれていました。なかなか物が捨てられないということですがリフォームを良い機会と捉えかなり大量の物を整理・処分しました。

お母さんはこの家で自分の母親を長い間介護してきて最後を看取ったそうですが介護する中でこの家の使い辛さを実感してきたそうです。

そして今回思い切って自分の終の棲家となるこの家の大規模リフォームを決心したのです。

ではリフォーム工事の様子をご覧ください。

お母さんが長い時間を過ごすリビングと寝室の壁には調湿・消臭作用に優れたエコカロンを塗ってきれいな空気の心地良い空間としました。

暖かくて気持ちの良い空間はこのようにして成り立っています。仕上がってしまうと分からない部分ですので施工中の様子をご紹介しました。

さて工事完了後にどうなったのかというと・・・

リフォーム前は階段が見えていました。左側の扉はリビング、中央は寝室、右側はトイレの入り口です。壁の腰部分は汚れやすいですし後で手摺も取り付けられるようにラーチ合板t=9下地貼りの上にコストの安価なシナベニヤを目透かし貼りとしました。

ちなみにこのリビングテーブルは弊社社長が桐材で造りました。

ソファは私がお母さんと家具屋さんに行って厳選してきたのですが。このソファに座って使うテーブルというとなかなかちょうど良い高さのものがないのです。多分既製品のソファとセットになっているテーブルって高さが低くて使いにくいと思います。ですからちょうど良い高さのテーブルをお母さんでも簡単に動かせるように軽い桐材を使って造ったのです。

建具は全てシナベニヤで造っています。この建具も框戸に見えますがシナベニヤのフラッシュ戸なんです。ちょっと専門的で説明がしづらいのですがコストをかけずに存在感を出す工夫をしています。

洗濯機から物干スペースまでの動線を短くするにはどうしたらいいかと考えた結果、2つの部屋を一体としました。

上の写真を見ると引戸が2枚あります。一つは玄関ホールへ、もう一つは寝室へ続く扉なのです。お客様が使う時は多少戸惑うかもしれませんがお母さんの生活を最優先した結果、出入口を2つ設けることにしました。

このように夜中にトイレに行く時も近くて便利です。トイレ入口近くには人感センサー式のフットライトが付いていて安全にトイレに向かえます。

そして寝室の腰部分と床には調湿性に優れ、肌に触れても冷たくない桐の無垢板を使っています。この部屋は寝るときだけに使う訳ですから床暖房までは必要ないと判断しエアコン暖房にしました。ただし裸足で歩いても柔らかく温かみのある素材が良いだろうということで桐を採用したという訳です。

以上が今回のリフォーム工事のあらましです。

僕にとって、このリフォーム工事は単なる仕事としてではなく、大げさに言うと人間の生き方というものまで考えさせられる意味の深い工事となりました。

お母さんがいつまでもこの家で元気に心地よく暮らせることを心から願います。


 


 


 


2013年7月12日-8:52 PM

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